昨今は「リスキリング」だ、「学び直し」だと、新しいことを学び、成長し続けることが求められる風潮にある。そのせいかスキル取得のための講座も流行っていて、web上には実にさまざまな講座の広告が行き交っている。そんな「もっと頑張れ」「もっと成長しろ」という世の中に対して優しく反論してくれるのが、SNSで大人気のカウンセラー・Pocheさんの新刊『がんばるのをやめたらうまくいった』だ。人間関係や親子問題、アダルトチルドレン(AC)専門のカウンセラーとして活躍するPocheさん。本記事では、「成長できないとダメ?」という問いに対するPocheさんの回答を、本書の内容をもとにご紹介する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
成長できていない人は、ダメな人?
めまぐるしくテクノロジーが変化する時代になったこともあり、「リスキリング」や「学び直し」といった言葉がよく聞かれるようになった。
就職活動においても、多くの若者が「成長したい」と口にする、といった話もよく耳にする。
「成長しよう!」「成長したい!」といった風潮の中、楽しく前向きに学べている人、成長を感じて喜べる人は素晴らしいことだ。
しかし、そこまで頑張れない人の場合、周囲の人がどんどん成長していくように見えて、不安を感じてしまう人も多いのではないだろうか。
人生に「成長し続けなければならない」というルールはない
また、技術や知識だけでなく、結婚しているかどうかや子どもの有無、持ち家かどうかなど、人生において、「どれだけのものを手に入れたか」で評価される傾向にもある。
みんなが手にしているものを自分が得ていなければ、このままでいいのだろうかと不安になったり焦ったりしてしまうものだ。
しかし、Pocheさんは「そんなときには、いったん深呼吸」と注意喚起する。
これは、当たり前のことでありつつも、多くの人が見失っていることではないだろうか。
「成長しないこと=悪」くらいに思っている人もいる現代において、「成長したからといって、人生がうまくいくとは限らない」と言ってくれる人はなかなかいないように思う。
Pocheさんのこの言葉は、心の真ん中にそっとおいておきたいものだ。
成長することよりも、「健康で楽しく生きる」が大事
とはいえ、自分だけが変わらないと不安になる人もいるだろう。
そんなときには「自分が成長していないのではと不安にさせるようなものは、意識して見ないようにすることも重要」とPocheさんは指摘する。
周りと自分を比較して苦しくなってしまうなら、例えば、SNSからしばらく離れてみるのもいいかもしれない。
SNSには仕事でキラキラと輝いて活躍している様子を知らせてくる人や、「頑張って学んでいます!」という姿を見せてくる人がたくさんいるからだ。
その人の実情がどうであれ、そういった姿を見てみると、不安や焦りを感じてしまうのも仕方がないことだ。
それで苦しくなったりモヤモヤした気持ちになったりするくらいなら、見ない方がずっと健全な状態に違いない。
まずは楽しく生きる。
楽しいと思うことを、無理せずにし続ける。
人間の「好き」や「楽しい」は他の何よりも強く大きな原動力になるからだ。
「周りがしているから」と渋々興味のないことに手を出すよりも、健康に楽しく過ごす方が充実した毎日になることは間違いない。
「成長することには興味はありません」と、胸を張って言えるような楽しみに満ちた毎日を送りたいものだ。