顕著な減速を見せる中国経済
米国とのGDP逆転はなく格差拡大
中国とロシアは5月16日、習近平国家主席とプーチン大統領の首脳会談後、経済や安全保障面での協力による「戦略的関係の深化」を掲げた共同声明を発表、連携強化を世界にアピールした。
5期目を迎えたプーチン大統領だが、これまで新任期の初めての外遊先に中国を選んだのは初めて。ウクライナ進攻による制裁などで孤立し対中貿易への依存を強める中で、対欧米に対抗するためには中国との連携重視を一段と鮮明にした。
これに対して、中国も共同声明で「内政への干渉、経済やテクノロジー外交を制限しようとするいかなる試みにも抵抗する」と、米国を強くけん制。台湾での頼清徳新総統就任に合わせて台湾周辺での大規模な軍事演習を始めるなど、米中「新冷戦」の下で自らの存在感を示す姿勢を強めている。
だが中国にとってのアキレス腱は、これまで存在感を高めることになった経済パワーに“変調”が見られることだ。
2020年代末には経済規模(名目GDP)では米中が逆転するとみられていたが、直近のIMF(国際通貨基金)の見通しではむしろ成長格差は拡大する。
米中の経済のパワーバランスに新たな変化が起きている。