中国経済は不動産・株価が低迷し物価も下落、成長率は目標達成も「デフレ」の瀬戸際Photo:PIXTA

2023年の中国経済の実質経済成長率は政府目標の5%前後を上回った。しかし、不動産不況は続き、株価も低迷し、物価は下落基調が続いている。政府は、株価維持政策に踏み切るなど対策に躍起だか、デフレの瀬戸際から脱し切れていない。(第一生命経済研究所 主席エコノミスト 西濱 徹)

経済成長率は政府目標達成も
資金流出が起きつつある

 2023年の中国経済は、実質経済成長率が5.2%と政府目標(5%前後)を上回る伸びとなるなど、一見すれば堅調さを維持している。

 さらに、10~12月期の実質GDP(国内総生産)成長率も前年同期比5.2%と前期(同4.9%)から伸びが加速しており、前期比年率ベースでも4.1%と前期(同+6.1%)からペースこそ鈍化するもプラス成長で推移するなど底入れの動きが続いている。

 しかし、足下の景気の状況を見ると、供給サイドがけん引役となる動きがみられる一方、需要サイドでは家計消費は力強さを欠く推移をみせている。さらに、経済成長を押し上げてきた不動産投資も市況低迷が足かせとなり、弱含む展開が続くなど内需を取り巻く状況は厳しさを増している。

 外需についてもここ数年の米中摩擦や世界的なデリスキング(リスク低減)を目的とするサプライチェーン見直しの動きに加え、コロナ禍からの世界経済の回復をけん引してきた欧米など主要国の景気にも陰りが出ていることも重なり下押し圧力が掛かっている。

 また、こうした状況に加え、反スパイ法改正など外資系企業を取り巻く事業環境の不透明感が高まるなかで足下の対内直接投資は23年の第3四半期に純流出に転じた。

 内外ともに先行き不安材料があるなか、中国経済は成長を維持できるのか。デフレに陥る懸念はないのか。次ページ以降検証してゆく