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中古車を探すなら“手をかけた”一台を

1998年に登場した、クアトロポルテ エボルツィオーネ。1998年に登場した、クアトロポルテ エボルツィオーネ。

 現在の中古車市場にクアトロポルテIVが出てくることはめったになくなってしまったが、たまに見かけることもある。その多くはそれなりに手をかけてよいコンディションを維持しているものだが、購入するならそういったモデルを強く勧めたい。スペアパーツの供給状況があまりよくないためレストアには少々てこずるので、トラブルを抱えていたりコンディションの悪い個体を手に入れると後が大変だ。内装ではアルカンターラ製ルーフの接着不良などが頻発すること、そして電動シートの動作不良などが挙げられる。特に後者の修復は難しいので、購入前にはよく調べられたい。シート自体はペイントの厚い良質のコノリー製レザーが採用されているから、かなり耐久性は高い。もっともしなやかで繊細なレザーの風味を活かしたビトゥルボ系独特の内装の感触とはちょっと違ってしまってはいるが…。いずれにしてもインテリア系の補修は高額となり時間もかかるので、よく見極める必要がある。

クアトロポルテ エボルツィオーネ

 対してメカニカル系は各センサー類、ヒューズ、リレー等の接触不良などが要注意点であるが、エンジン自体は極めて丈夫だ。少々金額をかけてでも、電装系は経験あるショップにて一度徹底的に診断してもらうのがお勧め。

 国内の個体の多くは2.8リッター V6モデルであるが、3.2リッター V8にさほどの優位性はない。また、フェラーリ傘下以降のエボルツィオーネも同様に、その信頼性も今となっては大きく差があるということもない。エボルツィオーネ系の方が生産台数も少なく、逆にパーツ供給の点で苦労することもあるくらいだし、整備性に関してはかえって悪化している点も見受けられる。つまり、中古車としては当たり前の結論となるが、よく手入れがされた個体を探し出すということに尽きる。逆に言えば、特定のモデルが大きな欠点を持っているというわけではない。

文・写真=越湖信一 EKKO PROJECT 写真=マセラティ 編集=iconic

マセラティの「フェラーリ傘下入り」と「日本式カイゼン導入」が「クアトロポルテ」をどう変えたか