日本でも人気を誇ったコンパクトラグジュアリーサルーン「マセラティ クアトロポルテ」の翻弄(後編)
*本記事はMEN’S EX ONLINEからの転載です。
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フェラーリクオリティの導入

 1997年にマセラティがフェラーリのマネージメント下に入ることになり、急遽、マセラティのラインアップが見直されることとなった。ギブリIIはボディなどのアッセンブリーのストックが無くなるまで生産を続け、そこで生産終了。そして当面クアトロポルテIVをメインに販売を進めていくこととされた。

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 そこで、早速クアトロポルテIVのマイナーチェンジが行われた。フェラーリのリソースを活用し、各部の設計変更に取りかかることとなったのだ。ビルドクオリティ向上を主たる狙いとして、コンポーネンツサプライヤーの見直しを図った。外見は大きく変わらないものの、アッセンブリーラインのリニューアルなど製造プロセスの刷新にまで踏み込んだかなり大きな取り組みであった。

リニューアルされたアッセンブリーライン。リニューアルされたアッセンブリーライン。

 これまでと同様にイタリア市場向けの2リッター V6エンジンも引き続き販売されたが、日本市場に向けては2.8リッター V6と3.2リッター V8のAT仕様のみがカタログモデルとして導入された。V6エンジン搭載モデルにもZF製に代わってBTR製の電子制御4速ATが導入されたのが変更点のひとつ。エクステリアではフロントグリルの新エンブレムとフロントフェンダーへのEvoluzioneロゴの追加、新デザインのホイール導入などが変更点であった。

エボルツィオーネのインテリア。ダッシュボード中央のラサール製オーバルウォッチはトライデントのエンブレムへと変更されている。エボルツィオーネのインテリア。ダッシュボード中央のラサール製オーバルウォッチはトライデントのエンブレムへと変更されている。

 インテリアはそれまでのきらびやかな光沢をもったブライヤーウッドの材質が非光沢の落ちついたものになり、ビトゥルボ系のトレードマークでもあったダッシュボード中央のラサール製オーバルウォッチが外され、そこにはトライデントのエンブレムが置かれた。これらの仕様変更は、デ・トマソによるビトゥルボ時代との決別を表すものと捉えられた。シートをはじめとして各部の作り込みもアップデートされ、派手さを抑えたものとなり、かつての大型グラントゥーリズモ時代への回帰がテーマとなった。