学者・研究者として
沖縄と関わる卒業生たち
「沖縄慰霊の日」(6月23日)が、今年もめぐってくる。県立那覇高校は、那覇市にある沖縄県庁から徒歩10分の中心部に立地する。戦前、戦後を通じ、時代をリードする卒業生をたくさん送り出してきた。
学者・研究者になった卒業生は、専門分野は違っても、その多くが生まれ育った沖縄についての論考をしているのが特徴的だ。
近代日本政治史が専門で琉球処分や沖縄戦などに関する著作が多い我部政男と国際政治学の我部政明は兄弟で、そろって那覇高校OBだ。政明は1972年の沖縄返還に関する日米協定で、沖縄の米軍基地の原状回復の費用を日本側が肩代わりした日米密約の文書を米公文書館で見つけるなど、一連の日米交渉について突っ込んだ研究をしている。
日本近現代史の安仁屋政昭は、沖縄戦における集団自決や住民虐殺などの研究で知られる。松島泰勝は島嶼(とうしょ)経済論が専門だ。
湧上元雄は沖縄民俗文化の研究を、久場政彦は沖縄経済の研究者だ。嘉手納宗徳は1700年代の首里、那覇の地図の復元をするなど沖縄郷土史の研究者だ。
一泉知永は産業金融論が専門だが、沖縄の経済と文化についての論考もしている。
屋嘉宗彦は経済学者で、法政大沖縄文化研究所長を務めた。
池宮正治は琉球文学史が、田名真之は沖縄史学が専門だ。来間泰男は沖縄史学者・農学者で沖縄国際大教授を務めた。
刑事法の学者・金城秀三は46歳という若さで琉球大学長に就任した。
勝方恵子は沖縄学、アメリカ文学が専門だが、沖縄のオーラル・ヒストリー(口述記録)のプロジェクトを推進した。那覇高校から日本大学第二高校に転校、早稲田大を卒業した。
南風原朝和(はえばる・ともかず)は教育心理学者で、東京大教育学部長―東大理事兼副学長を歴任し、2019年からは広尾学園中・高校校長だ。
医師になった卒業生では、18年3月まで東北大総長を務めた里見進が、外科医で腎臓移植手術の第一人者だ。国吉幸雄は心臓血管外科学が専門だ。
山城雄一郎は小児科学が専門で、腸内細菌の研究を続けてきた。順天堂大名誉教授・特任教授だ。
島袋香子(きょうこ)は琉球大保健学部卒の看護師で、2020年から北里大学長だ。
水産化学者の安元健は、フグ毒など海洋生物毒の研究で知られている。
高良健作は、食品衛生学などを専門とする琉球大農学部教授だ。