元宮崎県知事の東国原英夫元宮崎県知事の東国原英夫 Photo:JIJI

霧島酒造を業界トップに
成長させた江夏順行

 宮崎県の南西端・都城盆地の中にあるのが宮崎県立都城泉ヶ丘高校だ。都城市の人口は16万人弱で宮崎市に次ぐが、幕末までは薩摩藩の「私領」だった。このため現在でも、薩摩藩が残した文化が色濃く残っている。

 焼酎で全国トップになった企業がある。都城市に本拠を置く霧島酒造(創業は大正5=1916年)だ。その社長の江夏順行が卒業生だ。

 順行は2代目社長・江夏順吉の次男で,順吉の死去に伴い96年に社長の座を受け継いだ。当時は焼酎業界で第8位だったが、芋焼酎の「黒霧島」などのブランドで全国展開し、焼酎ブームに乗っかり2013年にはトップ企業になった。23年3月期の売上高は593億円で、トップの座を堅持している。

 同社は環境に配慮したゼロエミッション(廃棄物ゼロ)を目指している。同社のリサイクルシステムは14年に第23回地球環境大賞の「農林水産大臣賞」を受賞した。

 父・順吉は旧制都城中(都城泉ヶ丘高校の前身)卒で、旧制第七高校(鹿児島市)を経て東大工学部応用化学科で学んだ。順行はその次男で、都城泉ヶ丘高校―立教大卒だ。

 総務省が発表したふるさと納税の22年度寄付額ランキングによると、都城市が195億円で全国トップ(21年度は2位)だった。都城市は肉用牛の農業産出額が全国1位で、さらに「黒霧島」の存在がある。寄付のあとに自治体から送られてくる返礼品で、この2つの品が大人気であることが全国トップの背景にある。

 霧島酒造は9月から、麦焼酎と米焼酎の新商品を約20年ぶりに発売した。

 地元企業の経営者では、調味料メーカーのヤマエ食品工業の会長CEO(最高経営責任者)である江夏喜一郎がOBだ。

 外山木材は、都城市に本拠を置く、日本で有数の木材・木製品メーカーだ。昭和時代にその4代目社長を務めた外山勝は、旧制時代の卒業だ。

 ベンチャー企業の創業者もいる。小山田浩定は、医業経営コンサルや調剤薬局などの総合メディカル(本社・福岡市中央区)を創業し、東証1部上場企業に育て上げた。社長・会長を経て現在は相談役。同社はその後、MBOにより経営形態が変わり、再上場を目指している。座右の銘は「人に親接、自分に辛接、仕事に深接」だという。

 山下重憲は、電子機器・精密金型などの新生電子(本社・兵庫県猪名川町)を創業した。グループの従業員は、約700人いる。

 ベンチャー企業の支援をしている弁護士も、卒業生にいる。さくら共同法律事務所のパートナー、荒竹純一だ。ビジネス著作権法の研究者として知られる。

 大企業のトップ経験者では、斉藤佳男が自動車メーカーのスズキ会長を、南園克己は日東紡社長を務めた。