ますます過熱する中学受験。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』が発売に。本書より抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介する。

【カリスマ家庭教師が教える中学受験】ここ30年間で、圧倒的な快進撃を見せた学校は?Photo: Adobe Stock

親の固定観念で学校を見てはいけない

「偏差値は絶対的なものではない」といつもお話ししていますが、中学受験において偏差値を無視することができないのも事実です。塾や模試によって偏差値に違いはありますが、相対的な位置を把握する上では有効です。そして、どの学校も偏差値表に掲載される自校の数値に戦々恐々としています。

 偏差値は「世の流れ」や「入試形態」「塾との関係」「マスコミへの露出度」など様々な要因で変動します。昔、中学受験をされた親御さんの中には「女子最難関の豊島岡は、昔は裁縫学校だった」などとおっしゃる方も一定数いらっしゃいますが、偏差値は諸行無常……。

“偏差値表にすら載っていなかった学校が今は最難関校に”、あるいは“あれだけの名門校だったのに今は見る影もない”といったことが多々あるので、固定観念は禁物です。

偏差値は様変わりする

 本書では32年前と今の偏差値を比べた表を掲載しています。それを見ると、1992年は大学附属校に非常に根強い人気があったことがわかります。

 女子最難関は軒並み大学附属で、「桜蔭」と同列に「共立女子」が並んでおり、「女の子は大学受験などせず、のんびり過ごしてほしい」という意識がひときわ高い時代であったのがわかります。

 昨今も大学附属人気は過熱していますが、これは私立大学の定員厳格化にともなう大学の難化や、受験をせずに様々なことに打ち込める大学附属校の良さが見直されてきたからと言われています。

 同時に、「東洋英和女学院」や「光塩女子学院(東京都)」といった当時のブランド女子校も強く、ファッション雑誌にも数多くの女子大生が登場していました。

 この32年間で一番の快進撃は「洗足学園(神奈川県)」です。92年は偏差値40・5だったのが、今は66と神奈川の難関女子校の一つです。

 男子では92年に偏差値63・5だった「聖光学院(神奈川県)」は、同じく神奈川の難関男子校の「栄光学園(神奈川県)」に5ポイント以上差をつけられていましたが、今や栄光学園を抜いて神奈川のトップ校となりました。

 いずれの学校も、校長の強い使命感のなせる業です。一方、そのような手を打ってこなかった学校は人気が翳り、連動して偏差値も下がっていきました。

*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。