フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

初代「ユーノスロードスター」登場から数えて、今年35周年を迎えるマツダの2シータースポーツカー、ロードスター。2015年デビューの「ND型ロードスター」が今年マイナーチェンジされたのだが、マツダいわく、これは「過去最大級」の改良なのだという。どこがどう変わったのか、ガッツリ走り込んできたのでその感想をお伝えしよう。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)

ミクロネシア回航ミッションに挑戦する友人を陣中見舞い

 みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。
 今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。

 週末は宮崎で過ごしておりました。

 釜揚げうどんの名店、「戸隠」の名物女将、猪野由美さんの還暦祝いに参加してきました。面倒見の良い彼女のファンは多く、各界から大勢の方がお祝いに駆け付けておられました。ご主人の猪野龍治氏はあいさつの際に感極まって落涙するシーンも……。心温まる、すてきな会でありました。

猪野ご夫妻、一心鮨 光洋の木宮一光くんと猪野ご夫妻、一心鮨 光洋の木宮一光くんと。オーパス・ワンのマグナムボトルなんて初めて見ました Photo by Ferdinand Yamaguchi

 東京からいくつかの港をホップしながら那覇へ向かい、バシー海峡を通過してフィリピン経由でミクロネシアのオーシャンパラダイスへ回航するという、とてつもないミッションを遂行中の“ヤマケンさん”こと山崎憲治氏を油津港へ陣中見舞い。

 天候不良とAIS(Automatic Identification System、船舶自動識別装置)の到着待ちで、なんと10日以上も油津で足止めを食らっているとのこと。

外国船籍のため、停泊中の船に上がるだけでも港湾事務所への届け出が必要です外国船籍のため、停泊中の船に上がるだけでも港湾事務所への届け出が必要です Photo by F.Y.

 油津港から那覇までは2泊3日、天候によっては3泊4日のオーバーナイトクルーズ。さらにフィリピンまでは4泊5日のロングクルーズ。途中に立ち寄れる(つまり給油できる)港は一切ない。途中で燃料が切れたら冗談ではなく本当に漂流してしまうので、いかに燃費良く走るかがキモであるとのこと。

キャタピラー社製の1300馬力ディーゼルエンジンが2基キャタピラー社製の1300馬力ディーゼルエンジンが2基。エンジンの左右に見える銀色の箱が燃料タンクです Photo by F.Y.

 エンジンルームを中心に、複数箇所に設置された燃料タンクの容量は、トータルで9000リットル(!)。それだけでは不安なので、船尾は500リットルの予備タンクが2つ。那覇からは合計で1万リットルもの軽油を積んで出港するのだそうです。

増設された燃料タンク増設された燃料タンク。容量500リットルのものが2つ Photo by F.Y.

 油津港には、翌日に中古買取業者の査定があるフェル号カングーで行きました。

宮崎用に置いてあるフェル号カングーと90フィートの巨大挺宮崎用に置いてあるフェル号カングーと90フィートの巨大艇 Photo by F.Y.

 この中古車査定というのが非常に面白い。MOTAという一括査定のサイトを利用したのですが、買取業者間の「仁義なき戦い」が目の前で繰り広げられるのです。これだけで1本の記事になりそうです。業界ルールを無視して“抜け駆け”する会社もありました。結局“セコいマネ”をする業者は負けるんですよね(笑)。いろいろ勉強になりました。

 ということで本編へと参りましょう。

 10年目にして過去最大の改良が施された、マツダの看板車種、ロードスターの試乗記をお送りします。