10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭にも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

【算数オリンピック入賞者多数輩出の塾長が語る】なぜ才能を伸ばすためには「小3まで」が重要なのか?Photo: Adobe Stock

小学校4年生以降は、忙しくなる

 小学校4年生になると、中学受験の勉強が本格的に始まります。それに対して、未就学~小学3年生というのは、あまり時間の制約もなく、のびのび過ごすことができます。好きなことに打ち込める貴重な年代なわけです。

 だから、もしもお子さんが、算数が好きそうな兆候があったりしたら、とことんやらせてあげてください。

 国語も理科もピアノも水泳も……と、すべてにおいて平均以上を目指す必要はありません。算数だけでいいです!

「算数だけでいい」と言われると、不安を覚える方もいるでしょう。もちろん、教育方針はご家庭によって異なるので、ゼネラリストを目指すことを否定はしません。

 しかし、私の考えとしては、スペシャリストを育てていくことが大切だと思っています。なぜなら「プロローグ」でもお伝えしたように、今後はAI時代に突入していくから。機械的になんでもこなせるゼネラリストの価値は下がっていくと予想されるからです。

小さいときほど、知識を吸収し成長する

 だから、算数が好きなら、算数だけに振り切ってしまってOK。自由時間が多い小3までの間に、その子の能力を極限まで伸ばしてあげてください。小4以降は忙しくなるので、好きなことに没頭する余裕はなくなります。

 そう考えると、りんご塾は本当に恵まれていると思います。未就学児~小3までのむちゃくちゃ追い風の子どもたちを支援できるからです。
元々子どもは前向きなので、小さくて素直な頃ほど、知識をぐんぐん吸収するし、成長する意欲も高いです。その子の能力を伸ばす追い風がビュンビュン吹いているわけです。

 それに対して、小4以降の進学塾の先生は大変だと思います。向かい風が吹いているからです。それまでのほほんと過ごしてきた子どもたちに難しい問題を出して、戸惑い、焦り、ときにやる気をなくした子どもたちの心に火をつけて頑張らせなくてはいけないのですから。

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。