東大などが相次ぎ授業料値上げの動き
「私学並み150万円」は正しい道か
最近、大学の授業料引き上げを巡るさまざまな動きが表面化している。
東京大学は6月10日、授業料について「改定を検討している」とする藤井輝夫総長のコメントを同大のホームページで公表した。これに対して学内では約400人の学生が参加して反対集会も開かれた。
首都圏ではすでに、東京工業大が2019年に初めて標準額からの引き上げを実施して以来、東京藝術大や一橋大、千葉大などが追随している。
国立大の授業料の標準額が05年度に年間53万5800円になって以来、20年近く据え置かれている中で、こうした国立大の授業料引き上げは、標準額の20%を上限として各大学が裁量可能な範囲で引き上げる動きだが、教育関係者の中からは、標準額を私立大学並みの150万円に引き上げるべきとの声も出ている。
人口減少や成長停滞の下、人的投資の重要性がいわれ、高等教育の拡充に反対する声は少ないが、教育の充実にお金がかかるとすれば、その費用は授業料値上げで学生の受益者負担ということでいいのか、それとも別の道を探るべきか、社会の在り方が問われる、存外深い議論が求められる問題だ。