曖昧な「無償化」の目的
政治の思惑先行?では危ない
国民民主党を離党した前原誠司氏ら衆参両院議員5人が立ち上げた新党が、「教育無償化」というかなり限定的なシングル・イシューを党名として選んだことで、日本維新の会(以下「維新」)も目玉政策として掲げていた「教育無償化」がにわかに注目を浴びるようになった。
自民党も一種の無償化を掲げているほか、政府も「こども未来戦略」で3人以上の子どもがいる家庭では大学の入学金や授業料を免除することを掲げ、小池百合子東京都知事も高校授業料の完全無料化の方針を打ち出している。
「教育無償化」とは具体的に何かを目指す政策で、それはどのような政治思想に基づいているのか?
政権交代の起爆剤になるという前原新党には、教育無償化が野党の最も結集しやすい政策テーマだという思惑もあるようだし、維新にしても行政改革を掲げてきた路線と整合性があるのかという疑問も湧く。
一見、聞こえがいい政策だが、目的や基本の考え方、細部がはっきりしないままでは“政治標語”に終わるだけでなく、マイナスの効果を生みかねないことにも注意が必要だ。