「この人が本当のお父さんだったら」

ギャンブル依存で借金まみれの毒親育ち「母みたいになりたくない」と思っていた私が200万円の借金を抱えるまでPhoto by Ryosuke Kamba

――伯父さん、素敵な方ですね。

 この人が本当のお父さんだったら……と今でも思っているくらい大好きな伯父です。身内といっても、まったく血のつながりもないんですけど。

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 伯父は私に、支援の代償としてなにかを要求することは一度もなかった。母や父から学費がないと言われ、大学受験をあきらめたときも、伯父が学費を出してくれると言ってくれた。
「大学に行かなくても、ちゃんと就職できるような方法を探す」と言う私に、「就職するためだけに大学に行くんじゃないんだよ。大学生という4年間で、勉強したり、友達と遊んだりしながら、将来どんな道に進みたいのか、どんなことが好きなのかを考える時間をゆかにあげたいんだ」と伯父は言った。
「そこまでしてもらうのは悪い」と私が言うと、伯父はこう言った。
「ゆかは、いてくれるだけでいいんだよ」
 母も、父も、祖母も、伯母も、血のつながりのある人が誰も言ってくれなかったそのひと言を、いちばんつながりが遠いはずの伯父が言ってくれたのだ。
(『転んで起きて 毒親 夫婦 お金 仕事 夢 の答え』より)

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――「いてくれるだけでいいんだよ」という言葉は、機能不全の家庭で育ったゆかさんが一番求めていたものだったのでは。

 そうですね。言われた時は衝撃でした。祖父や祖母も思っていてくれたのかもしれないんですけど、口に出して言われたことはなかったので。

「○○な自分だから許してくれる」とかではなくて、ただいるだけでいいの? そんなんでいいんですか?みたいな感じで、めちゃめちゃ衝撃的でしたね。