コロナ禍が収束し、都市部では観光やビジネス利用の乗客が増えている。大手タクシー会社が多い都市部だが、それでも需要に対し供給が追いついていない。

 一方、地方でタクシー業を営むのは、大半が中小企業で、ドライバー志望の人材が見つからない状態である。人手不足のため、迎車を依頼しても長時間待たされたり、断られたりすることも少なくない。

 追い討ちをかけるのが、地方の交通事情だ。

 地方では鉄道やバスの減便が相次ぎ、公共交通機関が以前のように機能していない地域が増えている。移動には自家用車を使う場合が多いが、加齢とともに運転に不安を覚え、免許を返納する高齢者が相次いでいる。そうなると、病院や買い物に行く際、タクシーを使わざるを得ない。

 タクシーは他の交通機関と異なり、深夜や早朝でも利用できる。希望する場所へ直接行くことができる便利な乗り物である。都市部と違い、地方ではタクシーは不可欠な「住民の足」になっている。