「大半が電話の予約」
委託サービスで配車を効率化

 同社はさらに、配車業務の委託サービス「TaxiCC」も展開している。全国のタクシー会社への迎車依頼を同社のコールセンターへ転送し、集中的に運行管理するシステムだ。

深刻化するタクシー不足の救世主?約2万台が導入する「意外な最新技術」とは配車業務の委託サービス「TaxiCC」 オペレーターが各社の迎車依頼を確認し、即座に配車を行う

「各タクシー会社は、配車業務をアウトソーシングすることで、人件費の削減につながります。タクシーは24時間365日、迎車依頼があるため、早朝や深夜でもオペレーターが対応しなければなりません。体力的に大変ですし、効率も悪い。ならば、弊社が集中的に配車サービスを代行することで経費を削減し、効率化を図ってもらいたいと考えたのです」

 配車アプリが普及している都市部と違い、地方では大半が電話での予約である。そのため、タクシー会社ごとに配車業務の担当を雇う必要があったが、その人員も不足していたのである。

 委託サービスにより、手間がかかる配車業務を外部委託でき、その分を本来の輸送業務に充てることが可能になったわけだ。

 2008年に施行された旧タクシー特措法により、タクシー業界は長らく自由な経営ができなかった。政府が料金を制定し、稼働台数も制限していた。

 新たにタクシー業界に参入しようという企業は見当たらず、業界全体が沈滞気味になっていた。こういった状況のため、タクシー業界は採用や広報活動に力を注ぐ会社が少なかったと、近藤氏は話す。

深刻化するタクシー不足の救世主?約2万台が導入する「意外な最新技術」とは電脳交通は、ネットを駆使することで全国のタクシー会社のDX化を進めている

 しかし昨年、政府は規制改革推進会議において、ライドシェア含めてタクシー業界の自由化に言及している。近い将来、タクシー事業は自由に競争できる可能性が高くなっている。

「タクシー業界を活性化するため、これからは異業種の知見ある人材に参入してもらい、市場全体を盛り上げたいと考えています。新規のドライバー育成事業に投資を行い、タクシーを今以上に安全で安心して移動していただける手段にしていきたいです」

 地域の交通を変えていく。そう決意する電脳交通。交通インフラの地域格差を是正する一歩となる可能性は高い。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))