相手をよく理解するためにすべき「4つ」のこと

 では、具体的にどのようにアクティブリスニングを実践していけばいいのでしょうか?

 ここからは、今から実践できる、4つのすべきこと「Do」をご紹介します。

1 相手の話したことを「パラフレーズ」する

 まず一つ目は、相手の話したことを自分の言葉で言い換えたり、まとめたりして、会話の中に入れていくことです。

 相手の発言を「まとめる(パラフレーズ)」することで、自分の理解を相手に確認できると同時に、相手にこちらが真剣に聞いている印象を与えることができます。

 たとえば、相手の話がひと段落した時に、

 「なるほど、●●ということですね」

 と、「●●」に相手の考えのまとめを入れてみましょう。

2 相手の話した内容を少し掘り下げて質問する

 会話中に疑問に思ったことがあるときは、質問してみましょう。

「●●とおっしゃいましたが、◆◆ということですかね」
「●●とおっしゃいましたが、◆◆という意味でしょうか?」

 と内容確認のシンプルな質問をしてみましょう。

 また、より具体的に話してもらうように質問するのもいいでしょう。

「●●のとき、どう感じましたか?」
「●●について、どう考えますか?」

 相手の話を聞きながら、「●●」の部分をパラフレーズして聞いていきます。

 相手に質問をする時に、あくまで目的は相手の話す内容を確認し、詳しく聞くことだということを十分に注意する必要があります。

 くれぐれも質問をすることで、相手が非難されているように感じないように、気をつけましょう。

3 相手の気持ちに共感を示す

 相手の気持ちに共感した場合には、率直に伝えましょう。

「おっしゃるとおり。さぞかし●●でしょうね」
「そう感じるのは、ごく自然な気がします」
「私も、その状況ではそう感じてしまうと思います」

 ここでの禁句は「その気持ちわかる!」です。

 アクティブ・リスニングの焦点は、あなたの気持ちではなく、相手が感じていることです。「その気持ちわかる!」ではあなたの気持ちが強すぎます。

 あなたが本当に相手の気持ちをわかっているかどうかは、結局のところ、あなたにも相手にもわかりません。

 認知的共感にフォーカスして、相手の状況に身を置き、相手の気持ちを肯定してあげましょう。

 たとえ、相手の気持ちに完全になりきることができなくても、

「多くの人がその状況なら●●と感じると思います」
「●●と感じてしまうのも無理もないですね」

 と相手の気持ちを肯定します。

 また、相手の気持ちに共感できないときでも疑問を投げたり、否定したりしないように気をつけましょう。

4 相手の話に集中していることを示す

 自分の表情や目線、身振り、手振りを相手にシンクロさせていきましょう。

 相手が話している間は相手の目を見て、相槌を打つのが効果的。

 相手が悲しい話をしているのに、楽しそうな表情をしては信用されません。

 ですから、顔の表情も相手にシンクロさせていければさらにベターです。

 自分がしっかりと聞いていることを相手に印象付けることで、会話が弾み、相手の話をより理解しやすくなります。

 以上が、今から実践できるアクティブリスニングの4つの「Do」になりますが、アクティブリスニングのもう一つの側面、するべきでない4つの「Don’t」は、『スタンフォード式 生き抜く力』をぜひご参照ください。

【参考先】
*1. Rogers, C. R., & Farson, R. E. (1957). Active listening. Chicago, IL: Industrial Relations Center of the University of Chicago.
*2. Graham, S. Self-efficacy and academic listening. Journal of English for Academic Purposes, June 2011, 10(2), pp. 113-117.
*3. Graham, R. A Cognitive-Attentional Perspective on the Psychological Benefits of Listening. Music and Medicine: An Interdisciplinary Journal. 2010, 2(3), pp. 167-173.