また、フェイク説を唱えた原因の根本として、常日頃から盲目的に自衛隊を擁護する姿勢があったことが挙げられる。自衛隊を持ち上げるジャーナリストに多く見られたこのような主張には、自衛隊を盲目的に支持する姿勢や、フェイクであってほしいという願望が先行しているように見られ、主張に技術的根拠が述べられていないように見受けられた。

違法ドローンへの対抗策として
「未来兵器」が議論される不安

 今回のドローン侵入事件を受け、対抗策として現在開発中のレーザーや高出力マイクロ波といった「現在、配備の目途すら立っていない未来兵器」を提案する意見が、一般ユーザーやジャーナリスト、専門家問わずSNSや記事で見られる。しかし、現に起きた事案に対して、将来開発される兵器で対抗しようというのはナンセンスだ。

 高出力マイクロ波の開発自体は否定しないものの、今は現存する装置を使った現実的な対抗策の導入が必要である。例えば対ドローン妨害銃やドローン迎撃ドローン、レーダーやセンサー、妨害装置など、実績がある対ドローンシステムの導入が挙げられる。

 しかし、量産型カスタム師(ex.氏)は、現状の法規制のままで製造された新たな装置を導入しても効果は皆無であると指摘する。

「国内メーカーの対ドローン装置(妨害、検知)は総務省の電波法に準拠した仕様で開発、生産されているため、海外仕様のドローンには効果はない。したがって、現在のドローン対策の対象は日本国内で売られている電波法の技適(無線機器における技術基準認定)に沿った機体のみに限定される。一方で、観光客をはじめとする訪日外国人が海外からドローンを持ち込むことはバッテリーの個数以外の制限がなく、日本で売られているドローンとは電波周波数帯と出力が異なるドローンを持ち込むことが可能だ。