一般人から専門家まで
フェイク説に飛びついた要因

 一般ユーザー、専門家問わずフェイク説に飛びついた要因として、ドローンやAIへの理解が低いことが挙げられる。

 ドローンへの理解の低さについて、国内外でドローンとAIを活用した経験や課題解決の実績もあり、事件発生直後から文春オンラインの記事やダイヤモンドオンラインの記事で経験に基づき本物である根拠を示していたハッカーの量産型カスタム師(ex.氏)は、以下のように指摘している。

「日本は規制が厳しくドローンの操縦や撮影経験がない人が多くを占めることで解像度が低い。これには軍事ジャーナリストや安全保障の専門家も含まれる。そのため、ドローンで撮影された映像やその補正機能に対しても理解しきれておらず、DJIドローン特有の補正機能で補正された部分をもって生成AIによるフェイクと断定したのではないだろうか。

 今回の事件に際して反射的にAIによるフェイク説を唱えた軍事やAIに詳しいとする専門家たちは、市販のドローンや広く一般的に公開されている生成AIすら使用経験が乏しい、あるいは触ったことすらないことが露呈してしまったことになり、これまでの関連するコメント含めて信頼度が揺らぎかねない」

 専門家や大学教授らがフェイク説の根拠とそれに至った経緯の一例として、以下が挙げられる。

・甲板の艦番号83の3が薄く、生成AIによって生成された可能性がある。

・甲板や基地の陸地に人が立っておらず、同じく生成AIによって生成された可能性がある。

・AIの技術は進歩したのだなということを印象づける動画であると、AIに詳しいとする大学教授による根拠があるかのような見解。

・ドローンの飛行音は大きく、異変に気づくはず、という実際とは異なった見解。

・(根拠なく)自衛隊基地に対ドローン装置があるはずだ、という過信。

・法的規制があるため、ドローンを飛行させないはずだ、という過信