テレビと布団を見れば即バレ!老後の一人暮らしで「幸せな人」と「寂しい人」の決定的な違い株式会社GoodService代表・山村秀炯(やまむら しゅうけい)氏の著書『老後ひとり暮らしの壁』(アスコム)

自己管理できる人ほどモノが減っていく

 モノに囲まれた部屋と、モノが少なくスッキリした簡素な部屋。あなたなら、どちらに住みたいですか?

 これは完全に好みの問題ですよね。

 モノが少なくて見た目がきれいな生活をしたい人は、それができていれば幸せです。

 一方で、趣味が多くて、常に多くのモノに囲まれていたくて、それを実際に所有していることに満足を感じる人もいます。

 他人からすると散らかり放題に見えても、自分の中では何がどこにあるかがだいたい把握できている、といった経験があなたにもありませんか? 要するに自分の生活を自分で管理できているから幸せといえるのです。

「ゴミ屋敷」と「モノ屋敷」は違います。

「ゴミ屋敷」というのは、食事の食べ残しや空き缶、ペットボトル、タバコの吸い殻やペットの糞尿などがあふれていて、臭いもきつく、文字どおりゴミで部屋が埋め尽くされている家のことです。

 一方「モノ屋敷」というのは、フィギュアやプラモデル、ゲームやCDやレコード、本や雑誌、あるいはブランド品など、趣味性の高いものが大量に収集されている家のことです。興味のない人にはゴミと変わらないものを集めていたとしても、周囲に迷惑をかけていない限り非難される筋合いはありません。

 とはいえ、自己管理ができている人ほど、徐々にモノを減らしていく傾向があります。

 林さん(仮名)という女性は80代後半ですが、「もう、私は絶対に着ることはないし、娘も欲しがらないから、いらないの」と、着物などのコレクションをどんどん処分しています。この林さんの例のように、自分で自分の生活を管理することも歳をとるにつれて徐々に難しくなっていくので、死後のことも見据えて、趣味のコレクションなどもだんだん処分していくと、生活のストレスが減っていきます。

 もちろん、死ぬまで好きなものにめいっぱい囲まれているのが幸せだ、という人もいます。そうであっても、自己管理ができている人は「自分がいなくなったらこうしてくれ」と段取りをつけています。

 老いは誰にでもやってくるものです。判断力も記憶力も衰えていきます。自分の管理能力の衰えに備えて、決められるうちに決めておける人の部屋は、比較的モノが少なくシンプルな傾向にあると思います。