『風、薫る』第91回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第91回(2026年8月3日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
りん、迷う
日本ではじめてトレインドナース(訓練を受けた看護婦)になった人物をモデルにした『風、薫る』。主人公のひとり・直美(上坂樹里)は派出看護の活動をはじめた。
もうひとりの主人公・りん(見上愛)は看護婦を辞めて、新潟で女子寮の舎監をしている。そのりんが再び、看護の道に戻るのが第19週『黎明の翼』(演出:佐々木善春)だ。それは良いとして、戻り方がいささか手荒なのである。
「意外な知らせは突然やってくるんだなぁ」
研ナオコののんきなナレーションとは打って変わって、事態は深刻。
ある日、黒川(平埜生成)が女子寮にりんを訪ねてくる。なにごとかと思ったら、
「赤痢が出た」
黒川は、本格派の看護婦であるトレインドナースのりんに同行を頼みに来たのだ。
ゴロゴロと雷が鳴り、不穏さを煽る。
「最初の患者はいつ?」
りんはまっさきに聞く。さすがプロの看護婦だ。休んでいてもやっぱりまだ看護婦なのだ。
だが、りんは「いまの私が役に立てるのか」とそこも冷静で、「すいません、できません」と断ってしまう。
赤痢は、りんたちの暮らす場所から2時間ほど行った村で1週間ほど前から発生していた。
黒川が帰ったあと、りんは看護婦養成学校の卒業式の写真を出してじっとみつめ、「看護とは何か 問われているのは私自身」とつぶやく。
思い出すのはバーンズ先生(エマ・ハワード)の言葉(通訳は直美)。
「あなたたちの手は家族の数百、数千倍の人を助ける手なんです」
「あなたが看護婦になれば、家族を失いあなたと同じ思いをする人を減らすことができます」
バーンズの言葉を思い出したりんは、校長先生(関智一)が生徒たちに赤痢への注意喚起を促しているとき、「黒川先生と一緒に行かせてください」と切り出した。
看護婦になれば家族を失う、みたいに聞こえるが、そうではなく、家族を失ったあなたと同じ思いをする人を減らせるという意味だろう。







