スーパーのレジ待ちに「横入り」するおじさんは、内心何を考えているのか?写真はイメージです Photo:PIXTA

些細なことでイライラしたり、空気が読めずにトンデモ発言をしたり、武勇伝を何度も繰り返したり。そうした言動で周囲に迷惑を掛ける中高年層は、たとえ過去に仕事で成功していても、若者たちから「老害」だと認定されてしまいます。ですが、もちろん本人たちは悪気があって老害っぽい言動をしているわけではありません。では、なぜ「やらかす」のでしょうか。医学博士・平松類氏の著書『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)から抜粋して、その答えをお届けします。今回のテーマは「他人の時間を奪う高齢者」について。

悪意なき割り込みで他人の時間を奪う「老害」

 私がたまに利用する総合ディスカウントストアは、いつも人でごった返しています。

 土日ともなれば、つねにレジに行列の絶えない人気店です。

 1年ほど前の日曜日、私がレジに並んでいるときのこと。すでに会計を終えた高齢男性が、買った商品を袋に詰める台のエリアからレジに戻ってきて、店員さんにこう言いました。

「ごめん。駐車券を渡すのを忘れてた」

 このお店の駐車場は、退場時に駐車券を入れるとゲートが開く方式で、商品会計時に駐車料金が無料になるサービスを受けるための処理をしてもらう必要があります 男性は、それを忘れていたのです。

 店員さんは、別のお客さんの会計中でしたが、いったん手を止めて、駐車券を機械に通していました。れっきとした割り込み行為ではあるものの、やってしまいがちなことでもあるので、私はとくに気になりませんでした。
 
 おそらく、列に並んでいるほかのお客さんも同じだったと思います。しかし、この男性は、やにわに次の一手をくり出してきたのです。

「あとさ、レジ袋も足りなくなりそうだから、Mサイズをもう一枚ちょうだい」

 これには、一瞬にして周囲が凍りつきました。さすがにそれはないでしょ、と。

 店員さんも無視するわけにはいかず、「Mサイズは一枚4円になります」と言ってレジ袋を用意しました。すると男性は、小銭を切らせていたようで、「これしかない」と財布から千円札を取り出しました。

 そして笑いながら、続けてこう言い放ったのです。