フランス政治の混迷ぶりについて言えば、目下の膠着(こうちゃく)状態は恐らく投資家が望みうる最善のシナリオだろう。仏国民議会の決選投票が7日実施され、大方の予想通り、どの政党も単独過半数の議席に達しない「ハングパーラメント(宙づり議会)」に陥った。だが構成は予想外だった。マリーヌ・ルペン氏の極右・反移民政党「国民連合(RN)」は第1党になるどころか3番手に終わり、左派連合「新人民戦線(NFP)」が思わぬ逆転で最大勢力となった。エマニュエル・マクロン大統領率いる中道与党連合は第2勢力に甘んじた。これは左派と与党連合が選挙協力を進めたためだ。極右に対抗するため、多くの選挙区で票の分散を避けて候補者を一本化した。それでも単独過半数の政党がないことで、フランスは政治的に立ち往生している。直感とは裏腹に、これは金融市場にとっては望ましい結果だった。