北大西洋条約機構(NATO)加盟国の首脳たちが米首都ワシントンに集結しているが、彼らが開く首脳会議は今夏に起きている最も重要なことではない。ジョー・バイデン米大統領の討論の出来栄えを巡る民主党の危機もまた、最も重要ではない。世界を動かしているのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や、中国の習近平国家主席、インドのナレンドラ・モディ首相がいずれも外遊で注目を集めたアジアでの出来事だ。国際政治の中心はインド太平洋地域に移った。ユーラシアの中心部で起きることは、大西洋の世界で起きているどんなことよりも、世界の政治や米国の国益にとって重要だ。このため、大半の米国人にとって世界政治はより理解しにくいものになっている。中国やロシア、ベトナム、北朝鮮のような独裁主義国家は、国内の政治闘争を秘密主義や検閲によって陰に隠している。インドやインドネシア、日本といった民主主義国は、あまりにも複雑で、文化面で米国とはあまりにも大きく異なるため、旅行経験が豊富で博識の米国人でさえも、これらの国々の動向を常に把握するのは難しいかもしれない。
【オピニオン】アジアの新「ゲーム・オブ・スローンズ」
米国の力が弱まる中、アジアで中ロが権力争い
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