2年半で45円の円安、我慢の限界超えるが
金融政策や財政で「反転」させるのは難しい
7月に入っても円安は止まらず1ドル161円台後半と37年半ぶりの水準だ。12日の為替市場は円高に少し戻しているとはいえ、日本経済が直面している問題のひとつは円安であることは間違いない。
円安にはメリットもデメリットもあるが、問題は、メリットを享受できるのは一部のグローバル企業などに限られ、多くの中小企業や家計はコスト増・物価高という「円安の被害」を受けることだ。
このように円安の影響には非対称性があるので、多少の円安ならともかく、2年半で45円も円安になると国民の我慢も限界を超える。これだけ大きな為替変動は円高でも円安でも望ましくない。
今の円安の一因は日米の金利差なので、日本銀行が7月の金融政策決定会合で追加利上げをする予想も出ている。しかし、金融政策で円安のトレンドを明確に反転させるのは難しい。
円安を阻止できるとすれば財政政策だが、巨額の政府債務を抱える現状では財政拡張は裏目に出るリスクもある。
「円安阻止」ではなく政策発想を切り変える時なのだろう。