米テキサス州ヒューストン在住のメンタルヘルス専門家メアリー・サンピエトロさんは5年前、一生忘れられない恐怖を味わった。だがそれは米国の若者にがっかりする経験でもあった。この街で生まれ育ったサンピエトロさんは、マニュアル車の2016年式「ジープ・パトリオット」に乗り、治安の悪い地区を走行していた。信号待ちで窓を開けてたばこを吸おうとした瞬間、10代の少年が彼女の顔に銃を突きつけ、車を降りろと命じた。少年は車を強奪したものの、次の信号でエンストを起こし、走って逃げ去った。「カージャック犯なのにマニュアル車の操作方法を知らないの?」と彼女はあきれてしまった。サンピエトロさんは、1970年代のパワーステアリング(パワステ)がついていないピックアップトラック「ダットサン」でギアチェンジの仕方を覚えた。そのスキルは希少性を増しており、最近のいら立ちの原因となっている。夫の仕事の関係でイベントに出席する際、彼女は会場の入り口で車を降り、バレーパーキング(客の車を預かり、駐車を代行するサービス)を利用することが多い。駐車場の係員は大学生に人気のアルバイトだが、彼女は一度不愉快な経験をしてから、彼らが大抵、不慣れなマニュアル車をちゃんと操作できるとウソをついているのだと確信した。
米で珍しすぎるマニュアル車、泥棒もお手上げ
運転できる若者はまれな存在、ホテルの駐車代行でトラブルも
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