感情表現が豊かな中高年は、周囲にも魅力的に映ります。一方、感受性が強いということは、生活の中で喜びを見つける機会も増えるということです。

 感動は知性とも結びついています。普段から見慣れてしまっていることが、じつは素晴らしいことであると感じさせる力は、知識であり知性です。知性がなければ、その事象のどこが他と違うのか、どこが特別でなぜ多くの人が称えるのかを理解することはできません。

書影『最強の60歳指南書』(祥伝社新書)『最強の60歳指南書』(祥伝社新書)
齋藤孝 著

 絵画鑑賞はシンプルに絵を観て感動するだけでもいいかもしれません。しかし、作品の背景にある物語を知識として知っておけば、得られる感動は何倍にも膨らみます。お城や社寺などの歴史的な建造物についても同じことがいえるでしょう。

 近所の神社で見かけていた古い大木が、じつは樹齢が300年を超えていて、江戸時代から同じ場所で人々の暮らしを見守り続けてきた――そう考えれば、誰もが心を揺さぶられるでしょう。

 人の感受性は加齢とともに低下するといわれています。そこを意思の力で「すごい!」と思うように心がけ、己を鼓舞しながら脳を元気に保っていただきたいと思います。