定年後は自分の好きなことに時間を使える。でも、自分の趣味って何だったっけ?(写真はイメージです) Photo:PIXTA定年後は自分の好きなことに時間を使える。でも、自分の趣味って何だったっけ?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

数年後に迫る定年を意識する年齢になると、定年後はどうやって過ごそうかと、あれこれ思いをめぐらすようになる。その際、何をやろうかとワクワク感に浸る人よりも、何をしたらいいんだろうと悩んでしまう人の方が多いようだ。そんな人たちの心の内をのぞいてみよう。何かヒントが見つかるかもしれない。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

自分の趣味って何だったっけ?

 趣味というのは、仕事と違って、稼ぎにつながる必要もないし、ただやりたいからやるという類のものである。いわば好奇心のままに動き、進むのが趣味である。

 パズルが好きな人は、完成すれば報酬がもらえるというようなことがなくても、ただ楽しくてパズル解きに没頭する。旅に出て風景写真を撮るのが好きな人は、その写真をコンクールに応募するということがなくても、ただ楽しくて写真を撮る。ただ楽しくて没頭する……それが趣味である。

 ところが、自分は何をしているときが楽しいのだろうかと振り返ったとき、何も思い浮かばないという人もいる。仕事で疲れて、休みの日は家でゴロゴロしながらテレビを見たりしていたが、ゴロ寝でテレビ見るのが趣味だなんてあまりに寂しいという人もいる。昔からやりたいことなんかなかったし、今も特にやりたいことが思いつかない、という人もいる。

 そこで、「自分はなんてつまらない人間なんだ。なんてつまらない人生を送ってきたんだ」と自己嫌悪に陥る人もいる。自分が無趣味な人間なのだと気づいて、何だかむなしくなったという人もいる。