リスク承知でSNS投稿する理由

 この店と同様に、スマホで動画などを見ながらの食事を禁止しているラーメン店は少なくない。この他、

▽(店外の)行列には黙って並ぶ。できないなら来ないで
▽食べない人の入店は禁止(数人で来た中にラーメンを注文しない人がいる)
▽18歳未満は入店禁止

 など、人気ラーメン店は店独自のルールを掲げていることがあり、守らない客に対しSNSで厳しい言葉で注意喚起し、逆に炎上するケースが続発している。

 なぜ、リスクを承知でこうした行動に出るのか。

「店側も、ルールがある場合はちゃんと掲示していることが多いですから、なるべく注意はしたくないはずです。ただ、店内で直接お願いをしてもルールを守ってもらえない状況が続いた場合は、SNSなどで広く呼びかけるしかなくなります。結果、ネットで低評価を付けられたり、店を悪く書かれたりというリスクが生じることは分かっていますが、そうしなければならない状況に追い込まれているのだと思います」

 こう話すのは、青森県八戸市で「ドラゴンラーメン」を経営していた公認会計士の石動龍さんだ。2022年秋に閉店したが、行列ができるほどの人気店で、石動さんは時には厨房(ちゅうぼう)にも立ち、食材の仕入れも担当していた。

 冒頭の“イヤホン騒動”では、店主がなぜ困っているかをXに記しているが、石動さんはさらにこう付け加える。

「行列店では、お客さんが食べ終わるころを見越して調理を始めるなど、回転を良くして並んでいる人がなるべく早く店に入れるように工夫をしています。このため、周囲のお客さんと明らかに異なるほど長く滞在されると、とても困ります。イヤホンは絶対に迷惑、ということではなく、長く滞在されるなど困ってしまう事態が続いたため、SNSで一律に呼び掛ける状況になったのではないでしょうか」