会社を上場させる国を選ぶ場合、上場ルールの緩さは決め手の一つになり得る。だが、誰もその国の株を買わないなら、他の国に傾く可能性は高い。 中国発のファストファッション大手シーイン(SHEIN、本社:シンガポール)にとって、どちらの要因も重要だ。同社は約500億ポンド(約10兆円)の評価額がつく超大型の新規株式公開(IPO)を計画し、ロンドン上場に向けた準備を始めている。当初はニューヨーク市場を目指したが、同社に対する中国の支配力を巡る懸念が妨げになった。 活気を失ったロンドン証券取引所(LSE)は、カンフル剤を必要としている。ディールロジックによると、昨年、英国でIPOを実施した企業は19社にとどまった。2008年の金融危機以降のIPO件数は年間平均63件で、それ以前は161件だった。英製薬大手アストラゼネカや英石油大手シェル、英金融大手HSBCといった多国籍企業の本拠地であることに変わりはないが、昨年ナスダック市場を選んだ英半導体設計大手アームのように、注目度の高い国内企業にそっぽを向かれている。オンライン賭博のフラッター・エンターテインメントや独旅行大手TUIのように重複上場していたが最近ロンドンで上場廃止となった企業もある。