トランプ氏暗殺未遂で近づく再選、第2期政権の「青写真」と米民主主義の「危機」Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

事件後、トランプ氏支持率66%に上昇
議事堂襲撃の刑事訴追も不問に?

 7月15日の共和党大会でトランプ前大統領が、11月の米大統領選の候補として正式に指名された。直前の13日に起きた「トランプ氏暗殺未遂事件」は、共和党内の結束を高めた。

 民主党はバイデン大統領の高齢不安問題を抱え、大統領選からの撤退、代わりの候補者をめぐって混迷を続けていたが、そうしたなか、トランプ氏銃撃事件は起きた。

 致命傷は避けられたが、右耳から流血しながらこぶしを振り上げて退場する姿は、テレビなどを通じて何度も流され、トランプ氏の強運や強さなどが印象づけられた。トランプ氏が、前回大統領選の「不正」や民主党批判でさかんに用いる「ディープステート(影の政府)」などの陰謀論が改めてSNSで流された。

 RealClearPoliticsの調査によると、銃撃事件前に56%だったトランプ氏の支持率は事件後に66%にまで上昇した(https://www.realclearpolling.com/betting-odds/2024/president)。

 トランプ氏は11月の米大統領選で、勝利にぐっと近づいた感がある。

 しかし問題は、再選後にトランプ氏が何をするかであり、暗殺未遂事件でこの論点がかすんでいることは懸念すべきことだ。

 トランプ支持層の熱狂の一方で、それとともに、「トランプ再選」を恐れる声も強まりつつある。実際、トランプ前大統領が勝利すれば、明らかにアメリカの民主主義の制度的根幹が破壊される可能性があるからだ。