かつお節を「主役」の座に押し上げる斬新な商品で日本のだし文化を発信

日本が世界に誇る、無形文化遺産・和食の基本となる、だし。その本物の味を生み出す究極の天然素材ながら、“縁の下の力持ち”のかつお節を、“主役”に押し上げる商品で注目を集める企業がある。埼玉県和光市の池田物産だ。(取材・文/大沢玲子)

かつお節を「主役」の座に押し上げる斬新な商品で日本のだし文化を発信代表取締役池田 正氏(左)、専務取締役池田慎太郎氏(右)

 同社は1978年の創業以来、かつお節をはじめ、産地、味にこだわった質の高いだし素材を厳選し、飲食店や各施設、企業などに提供。

 現在、2代目として代表取締役を務める池田正氏は、「原料節卸、削り節製造卸問屋として、数多くのそば店で経験を積み、各種だし素材を使っただしつゆのプロデュース・アドバイスなどを行ってきました」と言う。

 さらにギフトを中心に、91年、小売部門「かつをぶし池田屋」ブランドを創設。99年、業界では他社に先駆けてホームページを作り、「時代の変化に対応し、独自の商品開発に取り組む必要性を強く感じるようになりました」と明かす。

 調味料の「江戸前かえし」「だしパック鯛とまいたけ入り」など、素材本来のうま味を生かしながら、手軽に料理に使いやすい商品を手がけ、2010年にはオンラインショップ、翌年には実店舗をリニューアル開店。地域のイベントやマルシェ、祭りへの出店など、リアルでの販売網を広げていく中、「だしを取った経験がない若い世代の方でも調理の手間いらずで、かつお節を主役として食べられる商品を模索し、着想したのが“削り節をそのまま食べる商品”でした」(池田氏)。