“生ハム”のような食感で
食べる削り節が大ヒット
試行錯誤しながら、厳選したかつおを特製の醤油だれに漬け込み、焙乾を重ねて、柔らかいながらも食べ応えのある中厚削り節に仕上げる。化学調味料無添加の一品だ。
14年の発売後、幅広い世代に手に取ってもらうため加えた工夫がおしゃれなパッケージと商品名だ。「イベントなどで試食をすすめながら、思い付いた言葉が“やわらかい新食感”を表現する“生ハム”でした」(池田氏)。
こうして「生ハムのような鰹節 食べる削り節」という商品名であらためて販売を開始すると、女性向けファッション誌などのメディアで「罪悪感のない、美容効果満点のおやつ・おつまみ」といった企画で評判に。特に、「多くのフォロワーがいる著名料理研究家がSNSの投稿で取り上げてくださって、大バズりしたのが転機となりました」と専務取締役の池田慎太郎氏。
小売店からの引き合いも急増し、「JR東日本おみやげグランプリ2020」でフード・ドリンク部門最高賞のグランプリを受賞。ロングセラー商品へと成長した。
かつお節削り体験や
だし講座などで情報発信
さらにさまざまなシーンで「かつお節を主役」として食べてほしいと、24年に開発したのが、巣鴨信用金庫の紹介でドレッシング会社・ビッグシェフとコラボした「かつお節にかけるたれ」。ベースはかつおと昆布のだしで仕込んだ米オイル。
そこにアーモンドダイスと海塩、香辛料を加え、塩味、山椒味、辛味の3種類がある。「米オイルのこくが加わることで、パスタとあえたり、サラダにかけたりとメニューの幅が広がります」と池田氏。
これら斬新な商品を通じて、同社には、だしをはじめとした「本物」の味を広く伝えたいというこだわりがある。
その一歩として地域のイベントや祭りにも積極的に出店。「かつお節削り体験や小学校をはじめとした地域でのだし講座など、積極的に情報発信しています」と慎太郎氏。同社のだしは、和光市内の学校給食で使われる他、「食べる削り節」は、和光市ならではの土産品としても好評だ。
地元を大事にしながら、毎週末、東京・青山で開かれるマルシェ「青山ファーマーズマーケット」にも定期的に出店。ブランド力向上にも注力している。
伝統の味を大事にしながら、今までにない概念、商品を生み出したいという同社。2代目と次期・3代目による二人三脚の今後のチャレンジに期待したい。
(「しんきん経営情報」2024年8月号掲載、協力/巣鴨信用金庫)
従業員数:16人
所在地:埼玉県和光市白子3‐18‐17
電話:048‐468‐3271
URL:katsuobushi.co.jp