ツール・ド・フランスの最終決戦の地となった世界屈指のリゾート地・ニースとF1の聖地・モナコ。筆者が実際に体験した「地上の楽園」……宿泊価格が衝撃だった。(取材・文/スポーツジャーナリスト 山口和幸)
3年ぶり3度目の
総合優勝で終結
第111回ツール・ド・フランスが2024年6月29日から7月21日まで23日間の日程で開催され、UAEチームエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が3年ぶり3度目の総合優勝を達成した。
ポガチャルは超難関の山岳ステージで5勝、さらに最終日の個人タイムトライアルも制して合計6勝を挙げ、総合2位のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ビスマ・リースアバイク)に6分17秒差をつけて圧勝。第2ステージで首位に立ち、翌日にその座を明け渡すものの、第4ステージで首位を奪い返すと最後までその座を譲らなかった。
ポガチャルは5月に開催された二大大会のもう1つ、ジロ・デ・イタリアでも危なげなく総合優勝していて、ダブルツールと呼ばれる二大大会連覇を達成した8人目の選手となった。現在世界で最も強い自転車選手であり、圧倒的なパワーから「宇宙人」とまで言われている。
史上初のゴール地点で話題
ニースってどんな町?
異例の大会だった。1903年に始まったツール・ド・フランスの歴史で初めて最終到着地がパリでなく、地中海コートダジュールのニースになった。ツール・ド・フランスのフィナーレといえばパリのシャンゼリゼ大通りをイメージする人も多いはずだ。世界で最も美しいと言われる並木道を完全封鎖してサーキットとする一大スペクタクルなシーンは夏祭りの最後を締めくくるものとして当たり前の光景だった。
しかし5日後に開幕する2024五輪にパリを譲渡。ニース市が最終到着地に名乗り出て、これまで見たこともないフィナーレの大舞台を整えた。最終日前日はニース近郊の山々を走る山岳ステージで、最終日がニースの目抜き通り、パリならシャンゼリゼに相当する「プロムナード・デザングレ=英国人の散歩道」で個人タイムトライアルが行われることになった。
紺碧に輝くコートダジュールの観光地ニースは、2020ツール・ド・フランス開幕地として世界中にその魅力を発信するはずだった。しかし新型コロナウイルス感染拡大により異例の大会順延・秋開催。そしてスタートやゴールに観客を入れないという感染防止対策を余儀なくされた。今回は観光大国フランスの最も輝くリゾートであることを改めてアピールしたいという熱意が異例のフィナーレ招致を成功させた。