コカ・コーラを日本一売った営業マンが実践!アンチ客も味方につける、稲盛和夫の「たった4文字」の教えとは?Photo:Justin Sullivan/gettyimages

四国コカ・コーラ ボトリング社で営業職として活躍し、日本コカ・コーラ社主催の全国セールスフォースコンテストで第1位を獲得した山岡彰彦氏の著書『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』から一部抜粋して、同氏の営業ノウハウをお届けします。今回のテーマは「稲盛和夫の教え」について。

アンチ・コカ・コーラの店
「依岡酒販店」社長の意外な言葉

 その日は目が覚めた布団の中からでも強い雨が降っていることがわかる朝でした。

 外回りの配達を抱えるルート営業にとって、雨の日はなんとも言えず憂鬱な気持ちになります。朝礼を済ませ、一通り準備を終えたら着替えの制服を助手席に載せて、タオルを首に巻いて出発です。何軒かの店を回り、依岡酒販店に来ました。

 市内でも比較的大きな規模で事業を展開していますが、私たちには少々風当たりが強く、いわゆるアンチ・コカ・コーラのお店です。その日は雨も降っているので、注文の製品をトラックから降ろし、お腹に抱えながら足早に倉庫へと運び入れました。事務所の入り口でいつものように事務員さんに伝票を渡そうとしていたその時、奥から社長が私を呼びます。

「おい、こっちに来てくれるか」

 少し躊躇する私。なぜなら私は全身ずぶ濡れ状態です。水滴が床を濡らしてしまうと掃除するのが大変ですから「はい。いえ……、ここで……」と言い終わらぬうちに「何をしているんだ。早く来い」との次の声が飛びます。

 私は社長の言葉のまま彼のデスクの前まで進みます。

「君がこの前から勧めてくれていた自販機の件だが、あれ、買うことにしたよ。契約するから用意してくれるか」