阪急神戸本線阪急神戸本線。十三駅からは同じ阪急の宝塚本線・京都本線と並走し「三複線」になる Photo:PIXTA

最新版の「鉄道の混雑率」に関する調査結果(国土交通省)を基に、独自にランキングを作成した。この記事では、混雑率ランキング【近畿版】を紹介し、通勤事情を解説していく。全国版には広島や福岡といった西日本の都市の路線が複数ランクインした一方で、近畿の路線がなぜ混雑しないのか、素朴な疑問を検証していこう。(乗り物ライター 宮武和多哉)

昔は平均237%もあった近畿の鉄道混雑率
なぜ今はそれほど混雑しないのか

『最新!鉄道「混雑率」ランキング【全国版・ワースト34】1位は混雑率171%!常連の東西線はどうなった?』では、国土交通省による最新版の鉄道混雑率調査の結果を基に、独自にランキングを作成した。混雑率171%というのは、国交省の目安としては、「体の向きを変えるのが困難」な程度だが、実際に乗車すると、「本当に勘弁してくれ!」という感想しか浮かばないほどの混雑ぶりだ。

 さて、実は全国版ランキングでは、近畿圏の路線は1路線しか入っていない。そこで、この記事では近畿圏の混雑率ランキングを紹介し、通勤事情を解説していく。全国版には広島や福岡といった西日本の都市の路線が複数ランクインした一方で、近畿の路線がなぜ混雑しないのか、疑問を検証しよう。

 鉄道混雑率ランキング近畿版で1位(ワースト1)となったのは、阪急電鉄神戸本線(神崎川→十三)だった。この路線は以前から混むことで知られ、地元民ならおおむね納得する結果ではないだろうか。

 とはいえ、同路線内では6両編成・8両編成に交じって10両編成で運用する時もあり、ピーク時1時間当たりの利用者数が3.7万人という状況の割には、首都圏の地下鉄ほどの「痛勤ラッシュ」にはなっていない。先に述べた通り、全国ランキングに入る関西の路線は阪急神戸本線のみ。近畿ランキング2位の大阪メトロ御堂筋線(混雑率132%)と10ポイント以上も開きがある。

 近畿ではかつて、JR大阪環状線、JR片町線(現在の学研都市線)、御堂筋線などが“異次元”の混雑率をたたき出していた時代もあった。近畿圏の主要路線の平均混雑率が237%(1965年)の時代だ。にもかかわらず、なぜ近畿圏の鉄道は、首都圏ほど混まなくなったのか?