最新版の「鉄道の混雑率」に関する調査結果(国土交通省)を基に、独自にランキングを作成した。この記事では、混雑率ランキング【首都圏版】を紹介。かつて「痛勤ラッシュ王」の異名を取った東京メトロ東西線がランキングから外れた理由や、代わって新たに東京メトロ最混雑路線となった路線を中心に解説する。(乗り物ライター 宮武和多哉)
平成元年は202%も!首都圏の鉄道「混雑率」
令和は東京メトロ内の“序列”が激変!
8月2日、国土交通省は2023年度の「鉄道の混雑率」に関する調査結果を公表した。通勤通学時間帯における鉄道の混雑状況を把握するため、毎年度実施しているもの。平成元年、首都圏(東京圏)の鉄道の平均混雑率は202%もあり、路線によっては身動きもできないほど混み合う“痛勤”を余儀なくされていた。その後、国土交通省が「首都圏の通勤ラッシュ混雑率を180%以下へ」と掲げて対策を打った結果、平成後期は165%前後で推移してきた。
しかし、令和に入ってコロナ禍とリモートワークが浸透し、乗客は一時、激減した。そして、コロナ禍がほぼ完全に明けた23年度、首都圏の平均混雑率は前年の123%から136%へ上昇し、朝の通勤通学ラッシュが戻り始めている。
とはいえ、未だコロナ禍前の水準に遠く及ばない路線もあれば、逆にコロナ禍前を超える混雑ぶりとなっている路線もある。この記事では、混雑率ランキング首都圏版を紹介し、各路線の事情について解説していく。
「痛勤ラッシュ」王者は日暮里・舎人ライナー
かつて常連の東京メトロ東西線はどうなった?
23年度の鉄道混雑率ランキング、首都圏の第1位(ワースト1)は、4年連続で日暮里・舎人ライナーだった。他の路線を大きく引き離しており、もはや絶対王者のポジションだ。
171%という混雑率は、国交省が目安として示す「ドア付近の人は窮屈となり、体の向きを変えるのが困難」(混雑率180%の場合)の状態に近い。実際に乗車すると、「本当に勘弁してくれ!」という感想しか浮かばないほどの混雑ぶりだ。
ただし、都内の地下鉄路線と比べると利用者は2分の1から5分の1程度(ピーク時1時間当たり8187人)である。激しい混雑の原因は。建設費用が若干安い新交通システムとして建設されたがゆえの「輸送力の乏しさ」(1編成の定員が平均252人、都内の地下鉄の5分の1程度)にあるだろう。かつ、乗客の体感としては、日暮里・舎人ライナーの車両は天井が低く、その圧迫感が痛勤ぶりに拍車をかけている。
一方、かつての絶対王者で長年、混雑率ランキングの1位に君臨していた東京メトロ・東西線は、今はどうなっているのだろうか?『最新!鉄道「混雑率」ランキング【首都圏版・トップ25】』では、その謎を解説すると共に、ランキングの11~25位を一挙に公開する。