サイゼリヤ創業者が「うちの料理はまずくて高い」と言い続ける深いワケPhoto:Diamond
*本記事は本の要約サイト flier(フライヤー)からの転載です。

おすすめポイント

「ミラノ風ドリア」が人気のイタリアンワイン&カフェレストラン、サイゼリヤ。

「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」という人は見たことがない。なんといっても「ミラノ風ドリア」は2024年5月現在、税込み300円という安さで、他のメニューも同等の価格帯だ。

 だが、本書の著者であるサイゼリヤ創業者、正垣泰彦氏は本気で「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」と思っているそうだ。正直なところ、要約者は最初「なんと風変わりな人だろう」と思った。

 だが「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」の裏には、確固たる理由があった。著者が「サイゼリヤの料理は最高だ!安くておいしくて申し分がない」と思っていたら、従業員たちがそれで満足し、現状維持できなくなってしまうかもしれないからだ。「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」と思っているからこそ、より「安くておいしい」サイゼリヤにすべく、努力を続けていけるのだ。

 著者は、60年にわたってサイゼリヤを経営し、育て上げていくなかで、ビジネスや人間のあり方に通じるこの世界の「法則」を見出した。本書では、その内容が「利他」「反省」「調和」「努力」「法則」の5つの章に分けてつづられている。

 日本のどこにいても常に安くておいしい料理を提供してくれるサイゼリヤには、人の本能やエゴに負けず、反省と努力を積み重ね、利他と調和で築き上げてきた歴史がある。イタリアンが珍しい時代に創業し、成長を続けてきた企業の根底にある「法則」は、時代の変化に翻弄されがちな私たちに、確かな学びを提供してくれるはずだ。(Keisuke Yasuda)