101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心を元気にしてくれる!

欲張らない、無理しない、顧客目線のシンプル営業術Photo: Adobe Stock

第一のユーザーである
自分だから言えること

私は自分自身が「化粧水」「乳液」「クリーム」の3点セットを使ってきて、肌がしっとりとなめらかになった経験から、ぜひセットでお手入れをして欲しいと思っていました。

効率よく販売して売り上げを伸ばしたいという思いがないといえば嘘になりますが、それよりも最大限効果を得るためには3点セットを購入するのがベストだと、自分自身が第一のユーザーとして胸を張って言えるからです。

この3つが基本中の基本で、これらによってお肌の状態を改善したところにファンデーションをつけると、驚くほどきれいになります。

欲張らず顧客目線で営業

もちろん、3点セットでのお手入れ前に、化粧落としのクレンジングや洗顔料などもラインアップとしてはあるのですが、一度にたくさんおすすめしても「そんなに買えないわ」「この人、強引に売りつけようとしてるのかしら」なんて思われてしまいます。

だから最初は、基本中の基本である3点セットのおすすめから入るようにしました。

順番にメリットを
わかりやすく解説

美容に興味のある人は、雑誌などで読んで「化粧水→乳液→クリーム」とステップを踏むことの大切さをわかっていましたが、ほとんどの人はどれか1つしか使っていません。

そこで、「洗顔後は化粧水をつけるようにしてくださいね」と化粧水をつけるメリット(お肌の水分を補う)をお話しして、「次は乳液です。乳液には水分が蒸発するのを防いだり、風などの外部からの刺激からお肌を守ったりする働きがあります」と説明していきます。

「最後のクリームはお肌に1枚、膜を張って潤いを閉じ込める役割をします」と、実際に化粧品をつけて、感触を確かめてもらいながら説明すると、ほとんどの奥様たちは「じゃあ、3つセットで欲しいわ」と納得してくださるんです。

きれいになっていく
姿を見てみたい

「とてもいいものだというのはわかったわ。でも、いっぺんに買うのはちょっとね……」と言う人には、「大丈夫ですよ。月賦でのお支払いでもかまいませんので」と、分割払いをおすすめするようにしました(今は月賦販売は一切行っていません)。

私自身もそうしてもらってとても助かりましたし、目の前のこの人がポーラ化粧品を使ってきれいになっていくのを見てみたい、という気持ちも強かったです。

「月賦でかまわない」と言うと、みなさん顔をパッと輝かせて「それなら私も使えるわ」と喜んでくれました。

時流に乗った販売方法

やはり、「売ろう」と横車を押しても買ってはいただけません。自分が「本当にいいと思う商品」をおすすめするからこそ、買っていただけるんだなと思います。

ちょっとした高額品をわが家のような一般のサラリーマン家庭に月賦販売する仕組みは、当時、さまざまな業態で人気を集めていました。

高度経済成長で毎年給料が上がるインフレーション(インフレ)の時代でもありましたから、月賦販売はサラリーマン家庭にとって悪い話ではなかったのです。

お客さんとの接点
を大切にする

また、現実的なことを言えば、私の側にもメリットは大いにありました。というのも、月賦にすれば「集金」という名目で1か月に1回、顧客の自宅を訪問することができるからです。

これが貴重なセールスの接点になります。商品を売るセールスの仕事は、いかに顧客に嫌がられずに接点を持つか、そして上手に商品のよさを伝えて成約につなげるかが肝になります。

集金という形で訪問を許してもらえれば、「そういえば、今度、こんな新しい商品が出るんですよ」とスムーズにセールスの機会を得られます。買う側にとって無理なく欲しいものが購入でき、売る側にとってもメリット大のこの売り方を、私はとても気に入っていました。

※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。