MMS機器を搭載した台車。後方に映るレール探傷車に牽引される(JR西日本提供)
線路や周辺設備を丸ごと3次元データ化し、保守や工事、緊急点検などに生かす新たな取り組みが本格化している。JR西日本が全線規模で導入を進めるのは、走行しながら高精度測量を行う移動計測技術だ。鉄道現場の業務を変えつつある、JR西日本の進める「MMS(Mobile Mapping System)」とは。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
車両にセンサーを搭載し
周辺の3次元情報を取得
デジタルツインという言葉がある。デジタル空間上に現実世界と対になる双子(ツイン)を構築し、モニタリングやシミュレーションを可能にする仕組みのことだ。20年以上の歴史がある概念だというが、ここ数年でよく聞くようになった。
生産管理や技術検証、遠隔管理など製造業に導入例が多いが、国土交通省も2020年から都市3Dモデルのオープンプラットフォームを整備する「都市デジタルツイン実現プロジェクトPLATEAU(プラトー)」を推進しており、火災延焼や人流シミュレータとしての活用事例が増えている。
データ化による施設管理や、現地では実施困難なシミュレーションなど、デジタルツインは鉄道事業と親和性が高いはずだが、本格的な活用には至らなかった。そんな中、ようやく道筋が立ってきたのが、JR西日本の進める「MMS(Mobile Mapping System)」である。
MMSとは、レーザスキャナ、デジタルカメラ、GNSS(全球測位衛星システム)測量機、IMU(加速度センサー・ジャイロセンサーからなる慣性計測ユニット)などのセンサーを車両に搭載し、移動しながら周辺の3次元情報を取得する技術だ。
絵画の点描の如く、測量した3次元情報の「点」を積み重ねることで、物体全体の形状を「点群データ」として描写する。道路分野では2000年頃から研究が始まり、2010年代に普及して前述の都市デジタルツインへと発展している。







