101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心を元気にしてくれる!
顧客によくしてもらう
お客様には、本当によくしてもらいました。たとえば、旅行好きで、いろんなところに行くお客様がいたんです。
旦那様が絹織物を外国に輸出する仕事をしていたそうですが、その人は毎回、私にお土産を買ってきてくれました。
キラキラ光る金細工のブローチや、焼き物の産地では茶わんなどを買ってきてくれたのです。
本当にいいものには
お金を払ってくれる
ある病院の院長夫人にも、ずいぶんよくしてもらいました。最初にお会いしたときから意気投合したのですが、「こんな商品が出ましたよ」と紹介すると、欠かさず買ってくれるのです。
あるとき、初めて3万円のクリームが出たとき、私は内心、「確かにいい商品ではあるけれども、さすがにこの金額のクリームを買う人はそうそういないだろう」と思っていました。
ところが、その院長夫人は、お肌につけてみるなり気に入り、「このクリーム、すごくいいわ。私、買います」と言ってくれました。お金持ちということもあるかとは思いますが、お客様は本当にいいと思ったものにはお金を出してくださるのだとも思うのです。
書きためてきた
顧客売上帳
それが励みになって、高価なクリームでもたくさん売ることができたんです。でも、そんなお客様も、多くの方々が亡くなってしまいました。私が101歳になるのですから、それも仕方ありませんよね。
私は、この仕事を始めたときから、欠かさずオリジナルの「顧客売上帳」をつけるようにしています。
お客様の名前、住所、自宅電話が普及してからは電話番号、いつ何をいくら買ってもらったか、月賦で払ってもらった日時と金額など、必要なことを全部つけてきました。それが60冊もの束になって、縁側の物入れに入っています。
帳面を見るたびに思うこと
あるとき、取材のために来てくれた記者さんに、「お仕事の思い出が形になって残っているものはありますか?」と聞かれてから、それを取り出して見せるようになりました。
「こんなにたくさんあるなんて! 堀野さん、このお客様の全員を覚えているんですか?」と言われますが、ほとんどの人を覚えています。
この帳面を見るたびに、かつて私から化粧品を買ってくれたお客様の多くが、亡くなってしまったのだなぁと思うと、胸にこみ上げるものがあります。
袖振り合うも他生の縁
多くのお客様が長いお付き合いだったので、よく覚えています。名前を見ては、「この人とは、あんな話をしたなぁ」「あの人は新商品が好きで、新しいものが出るとすぐに買ってくれたなぁ」なんて、思い出して懐かしんでいます。
「袖振り合うも他生の縁」といいます。セールスレディとして、お客様と長くお付き合いできたのは、よほど縁があってのことなのでしょうね。お客様たちがいてくれたからこそ、今の私があると思うと、本当にありがたいです。
※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。