「仕事がおもしろくない」「上司にうんざり」「もう会社を辞めたい!」
そんな思いが少しでもあるなら参考にしたいのが、92歳にして、現役総務課長としてバリバリ働いている玉置泰子さんの著書
『92歳 総務課長の教え』だ。
ベストセラー作家・本田健氏も絶賛する泰子さんの教えは、新入社員からベテラン社員まで即役立つ、説得力あふれる教訓と箴言が満載。「世界最高齢の総務部員」として、ギネス世界記録に認定された泰子さんが、長く幸せに働く63の秘訣を手とり足とり教えてくれる。

※本稿は、『92歳 総務課長の教え』より一部を抜粋・編集したものです。

【92歳の現役総務課長が教える】<br />会社員だからこそ絶対に忘れてはいけないたった1つのこと鳴田小夜子(KOGUMA OFFICE)

会社員も起業家精神を胸に秘める

若い世代には、しばらく会社勤めをしてスキルを身につけたら、独立して起業したいと思っている人が増えているようです。70年以上前に私が勤務しているサンコーインダストリーを創業した前会長も、大手鉄鋼メーカーに勤めた経験を活かして、独立・起業をしました。私自身は、独立・起業をしようと思ったことはないのですが、起業家精神を胸に秘めて仕事をしてきたつもりです。

周囲の評価はどうかわかりませんが、私自身は、自分には起業家精神があるほうだとも思っています。上司からいわれたことを、「はい、わかりました」といわれた通りにやるだけでは満足できない気質で、私流にあれこれと創意工夫することを心がけています。昭和30年代のことですが、創業者の前会長と仕事をしているとき、こんなことがありました。

いつものルーティンワークは完成形ではない

まだパソコンがなかった時代ですから、私が担当していた経理事務の帳簿も伝票の整理もすべて手書き。そろばんを使って計算していた頃です。取引先ごとに売り上げや売掛金などの伝票をつくり、毎月すべての取引で帳簿が合っているかどうかを確認していました。この業務はとても煩雑で、ミスも出やすいという難点がありました。

そこで私は蛇腹状のファイルを買ってきて、そこに取引先ごとに伝票を入れておいて、月末ではなく10日ごとに締めて集計する方法を考え出しました。作業をよりシンプルにすることで、ミスも出にくいと思ってのことでした。独断専行は決して褒められたことではありませんが、このときはお客様から「サンコーさんは請求書が早くくるので助かる」と喜んでいただきました。現在もシステムに課員の工夫が反映されて、締日の翌日には請求書の発行ができています。

自分の仕事にイノベーションを巻き起こす

それ以降も、たとえ上司の指示がなくても、面白いと思ったアイデアはなるべく形にして、提案するようにしてきました。「それは面白いな」と採用されることもありますが、「まぁ、聞いておこう」と話だけで終わることもあります。ただ、上司の評価はどうであれ、自分の考えを突き詰めるのが好きなので、自分のアイデアが採用されなくても落ち込むことはありません。

世の中は、会社に勤めるか、起業をするかという二者択一ではありません。いちかばちかで独立・起業する勇気が持てないのなら、会社という組織に勤めながら、起業家精神を発揮してクリエイティブに仕事を進めるという働き方も素敵だと思うのです。

※本稿は、『92歳 総務課長の教え』より一部を抜粋・編集したものです。