そして、閉経後は「私はもう女を卒業したわ」と急におっさんのような態度で、傍若無人に振る舞うオバチャンもいるのです。周囲の迷惑も顧みず電車の中で仲間と大声でおしゃべりする。注意すると「何よ、あんた」と吠えまくる。これも困ったものです。

「すぐにキレる老人」に成り下がる人の共通点、美輪明宏が見抜いた「中高年男性の悲哀」とは私の人生論 目に見えるものは見なさんな』(毎日新聞出版)美輪明宏 著

 年齢を重ねてもキレたり吠えたりしないためにはどうすればいいのか。それは若い時から心と身体に十分に栄養を与えることです。クラシックや優しいメロディーの唱歌、美しい絵画、詩、小説など、しっかりと質の良い文化に親しむという習慣を身につけることです。

 そうすれば、仮に体力の衰えを感じても、焦ることなく精神を安定させることができるのです。音楽や美術、文学などの芸術は心を豊かにし、精神の波長を常に高い位置で維持する力があります。同時に穏やかな生活を送るためには食生活も大切。肉食よりも野菜、魚中心のメニューに切り替えていきましょう。

 もしあなたが街で理不尽にキレられた時は、笑顔でこう言ってください。「栄養が不足していますよ」。決して怒鳴り返してはダメ。同じレベルになってしまいますよ。

(初出:スポーツニッポン2017年3月4日付)