正解:見送り。売上債権の回収に問題が発生している可能性あり。

売上債権の急増は問題発生のシグナル

 H社のバランスシートを見ると、売上債権が10億円増加したことがわかります(20億円→30億円)。

 そのために、短期借入金は5億円増加し(20億円→25億円)、現預金が5億円減少しています(10億円→5億円)。

 売上も在庫も増えていないのに売上債権が増加するのは変です。

 売掛金の回収に何らかの問題が発生している可能性があります。

バランスシートの変化から「ストーリー」を読み解こう

 いつも商品を渡してから2ヵ月後には代金を払ってくれていた大口取引先から突然、「今、お金がないので、3ヵ月後まで待ってくれ」と言われたら、どう思いますか?

 H社は、そんな状況に置かれています。何か良からぬことが起こっている可能性があります。

【可能性1】大口取引先の資金繰り悪化か?
 もし取引先の経営状態が悪化しているならば、売掛金が回収できなくなるリスクもあります。

【可能性2】販売不振か?
 取引先が販売会社(資本関係なし)の場合、販売不振で在庫が積みあがっている可能性もあります。販売会社に無理に製品を買い取ってもらったが、売上不振で販売会社の倉庫に製品が眠っているのかもしれません。

決算説明会資料を確認しよう

 悪いことが起きている可能性をバランスシートから読み取ってみましたが、実際に何が起きているか、決算説明会を聞かないとわかりません。

 企業のHPで決算説明会資料を確認しましょう。決算説明会の動画が掲載されていれば視聴しましょう。売上債権増加について、どのような説明がされているか確認してください。

 決算説明会動画の最後に、アナリストからの質疑応答がある場合は、そこをしっかり聞くことも大切です。H社の売上債権増加は異常なので、質疑に出ているはずです。

(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)