インスタグラムフォロワーは380万人超、展覧会の総動員者数が230万人を突破した、大人気ミニチュア写真家・見立て作家の田中達也氏。“毎日”新たな作品を投稿し続けている同氏には「どうして、アイデアが尽きないのですか?」という質問が届くという。そこで本連載では、「感覚に頼らず、論理的にアイデアを生み出す法則」をまとめた『みたてのくみたて』を刊行した田中氏に、アイデアは、尽きるどころか日々増えています」という発想の秘訣を、余すことなく伝えてもらう。(構成:ダイヤモンド社第三編集部 初出:2024年7月17日)

みたてのくみたて写真:田中達也

アイデアは出し尽くした後におもしろくなる

 私がインターネットで作品を発表し始めて約13年が経ちます。制作した作品数は5000点を越えました。

 今も毎日、作品をつくっていますが、アイデアが枯れたり飽きたりすることはありません。
 むしろ、ひと通りやり尽くしたモチーフにこそ新しいアイデアを生み出せる可能性があると感じています。

 それを実感したのが、「唐揚げ」を題材に作品をつくった時です。凸凹した形から「岩」や「爆発」を連想される方も多いと思います。私も最初は、そのようにしか見えませんでした。
 けれども「もう一度この題材で作品をつくりたい」と悩んだ挙句、唐揚げが「紅葉」のようにも見えることを発見します。
 この作品を観た方からの反応は期待以上のもので、自分でも手応えを感じた瞬間でした。

 アイデアが枯れることを心配して、出し惜しみしてはいけません。ストックしているとそれに固執したり、安心してしまったりします。

 すべて出し尽くしたとしても、その後に必ず新しいアイデアが出てくるものです。

(本稿は、『みたてのくみたて』を抜粋、再構成したものです)