「誰かがあなたを殺しに来るなら、先手を打ってその相手を殺すべきだ」というのが、ユダヤの伝統的な教えだ。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの25日の対応に見られたように、イスラエルには、この教えに従う以外の選択肢がなかった。パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスによる昨年10月7日の奇襲の前に、イスラエルが同様の対応を取れなかったのは悲劇だった。ヒズボラは昨年10月8日、ハマスの攻撃に加勢した。レバノンを拠点とするテロリスト組織であるヒズボラはそれ以降、ミサイルと自爆型ドローンを6700発以上発射し、イスラエル北部の住民に避難を余儀なくさせた。イスラエルと米国の情報機関は、ヒズボラがテルアビブ近郊の情報機関の拠点などイスラエル各地を標的とした大規模な攻撃を準備していることを、今月24日に察知した。25日の午前4時45分ごろに、イスラエルの100機ほどの軍機が先制攻撃を行い、レバノン南部に位置する数百のロケットとその発射台を破壊した。ヒズボラ側は、午前5時15分の攻撃開始を予定していたことを後に認めている。