長野県のスーパーのコメ売り場長野県のスーパーのコメ売り場。おコメの購入は「1家族2点まで」に制限しているが、売れ切れている Photo by Hirobumi Senbongi

スーパーから、コメが消えた。コメの代わりにパスタや餅などを食べることを余儀なくされた消費者も少なくない。本稿では、コメが消えた本当の理由と、政府が備蓄米の放出に慎重なことの裏事情、さらに、今回のコメ不足が日本の食料安全保障に突き付けた課題を解き明かす。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

農協の倉庫にはコメがあるのにスーパーで欠品
総選挙が近く、政治的な思惑も影響か

 8月の後半以降、スーパーからコメが消えた。筆者は、地方のスーパーにはコメが残っていると聞いて、8月25日、長野県の農村部のスーパーを3店舗はしごしたが、一般的なコメは売り切れており、残っているのはもち米とパックごはんだけだった。

 コメの欠品が続く状況は、2011年3月の東日本大震災直後にも発生した。

 だが、現在は、震災時と違い、交通の寸断は起きていない。にもかかわらず、なぜ消費者にコメが行き渡らないのか。

 次ページでは、スーパーからコメが消えた本当の理由と、農水省が備蓄米の放出に慎重なことの裏事情、さらに、今回のコメ不足が日本の食料安全保障に突き付けた課題を解き明かす。