夏休みが終わればいよいよ入試に向けての仕上げの時期にはいってきます。どのようにして最終的な志望校を確定するのか、過去問はどのように進めればよいのか? 塾がお膳立てしてくれる最難関校はともかく、それ以外の学校を志望している子の親御さんは意外に情報がないといいます。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。

【中学受験のカリスマ家庭教師が教える】「赤本」をやらせる時に、絶対にしてはいけないこと ベスト1Photo: Adobe Stock

子どもは赤本に書き込んで問題を解き始める

過去問を解いていく場合に、問題用紙、解答用紙の準備は、親御さんが行ってあげましょう。後述するように本物の入試問題が入手できればベストですが、できない場合は、赤本を使って過去問を解くことになります。

しかし、絶対にしてはいけないのは「解いておきなさい」といって子どもに赤本をポンと渡すこと。実際、多くの親御さんがされているのではないでしょうか。

子どもは赤本を渡されると、そこに直接ごちゃごちゃと書き入れて解いていきます。普段は授業や宿題でノートにきちんと式や図を書いて解いている子でも、です。

赤本は一回分の入試問題を数ページに収めるためにギュウギュウにレイアウトされているため、余白がほとんどありません。本来であればノート半ページあるいは1ページを使わないと解けない問題(実際の入試問題でもそれだけの余白をとっている学校が多い)を、赤本の隅の方で解き散らかすことになります。

「志望校の過去問題」「制限時間」「解くスペースがない」という要因が絡み合い、焦って筆跡も別人のように乱れます。これでは、当然点数は取れず、どこで何を間違えたのか、見直すこともできません。

よって、赤本を使って解かせる場合は、

・解く問題のページをコピーする(できれば拡大コピー)
・ノートあるいは真っ白な紙に解く

ように指示してください。
もし時間があれば、算数と理科に関しては、

・左に問題、右に解くスペース(白紙)

という形状に整えてあげましょう。A4でコピーした問題の右に、A4の白紙をテープでくっつけるだけでもずいぶん解きやすくなります。

普段は非常に達筆で参考書のようなノートのT君も、赤本に書き込んで解いた過去問は解くスペースがなく、苦戦していました(本書P.127参照)。問題の右側に余白スペースを作って、いつも通りの筆跡で解くように指示したところ(本書P.126参照)、点数が30点上がりました。

過去問で点数が取れなくて落ち込むのは本人と親です。しかし、過去問を解くための準備不足が原因だとしたら、ぜひその障害を取り除いてあげてください。

解答は必ず親が保管する

解答は必ず親が保管しましょう。

解答がついていると、子どもはどうしてもそれを見てしまうものです。子どもは、たとえカンニングであっても「良い点数を取った」という実績と、喜ぶ親の顔が見たいのです。

さらに怖いのが、カンニングすることによって考える力が去勢されていくことです。
「うちの子に限って……」ということはありません。

カンニングを簡単にできる状況・環境をつくってしまう大人が悪いと心得ましょう。

*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。