かねて、中学受験における偏差値の最上位校には開成や麻布、女子学院などの私立校の御三家と、国立の筑波大学附属駒場などが並んでいて、受験に臨む親子が高い目標として目指してきた。しかし、近年はそこに異変が起きている。親たちが10年、20年先の社会の変化を見据えて、足元の偏差値では最上位校に及ばずとも、「子どもを入れて、決して損しない」学校を選び始めているのだ。幼児から高校生まで教える人気学習塾「VAMOS」の富永雄輔代表による連載第2回では、第1回に続き、学校選びの新基準を解説する。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意)
「コンサバ革新系」学校の魅力は
入れて損しない、コスパがいいこと
中学受験の御三家を脅かすのは渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(以下、渋幕)、渋谷教育学園渋谷中学高等学校(以下、渋渋)だけではありません。聖光学院中学校高等学校(以下、聖光学院)、豊島岡女子学園中学校・高等学校(以下、豊島岡女子)、それらに続く、男子なら海城中学高等学校、早稲田中学校・高等学校、浅野中学校・浅野高等学校。女子なら洗足学園中学・高等学校、吉祥女子中学・高等学校、鴎友学園中学高等学校、頌栄女子学院中学校・高等学校もまた、近年飛躍の著しい学校です。
こうした学校は、渋幕・渋渋とは対照的に、伝統的な教育スタイルを維持しつつ、現代の親のニーズをうまくすくい取った「ほどよく」手厚い教育が特徴です。
一言で言えば、生徒を「信用しすぎず」に一定の勉強をさせる、「子どもを入れて、決して損しない」学校です。その安心感から、人気が上がって、優秀な子が集まるようなりました。
どんなに勉強ができる子でも、入試が終わり、中学に入ったら、遊びたくなるものです。これまでの上位校は、自立を促すために、入学後「勉強、勉強」とうるさく言わなかったことが持ち味でした。これに対して聖光学院、豊島岡女子は、「7割の手厚さと3割の自由」くらいのいいあんばいで手を掛けて教育してくれるのです。