101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心を元気にしてくれる!

【病気】看病しながら「売り上げ目標」を達成し続けた妻へ「夫のひと言」Photo: Adobe Stock

夫の闘病に直面する

お付き合いのあったお客様も、私が80歳を過ぎたころから、次々と亡くなるようになってきましたが、私自身は、主人の闘病に直面することになりました。

10年くらい「あそこが悪い」「ここが悪い」と言い続けていたのですが、あるときポリープが見つかったんです。

東京に住んでいる息子が、「お父さんに最高の医療を受けさせたい」と言い、東大病院(東京大学医学部附属病院)に入院させることになりました。

甘えん坊の夫の付き添い

東京での滞在先からは、バス1本で病院まで通うことができたのですが、毎日のことだったので、それは大変でした。

何しろ福島のわが家だって、1人でいられなくて私に営業所をやめさせたような夫です。個室で話し相手もいなくて、寂しかったのでしょう。

携帯電話が普及し始めたころでしたが、私たち夫婦は2人とも、すでに持っていました。そして、私が病院の廊下を歩いていると、夫から電話がかかってくるのです。

「毎日来い」の一点張り

「遅い! いつまで待たせるんだ!」なんてね。高齢者になっても甘えん坊が直らなかったのですから、いい気なものです。

さすがに息子も呆れて「このままじゃお母さんが参っちゃうから、土日くらいお見舞いに来るのはやめて、体を休ませればいいのに」と言い出す始末です。

でも、ダメでしたね。夫は「毎日来い」の一点張りでした。

看病しながらもお客様に対応

東京には1か月ほど滞在しましたが、その間もお客様からの注文は、電話で受けるようにしていました。

主人の入院も私が付き添わなければならないことも、私の側の事情です。お客様に迷惑をかけたり、不便な思いをさせたりするわけにはいきませんからね。

ご注文を受けたら営業所に連絡して、お客様に送ってもらいました。それに備えてお客様の連絡先は、全部控えて持って行きましたよ。

夫の看病をしつつ
売り上げ目標をキープ

そのころは1か月の売り上げ目標が20万円だったので、それをキープできてホッとしました。

主人が治療で入院しているときに、当時83歳の私は仕事の算段に頭を巡らせていたのですから、笑ってしまいますね。

苦境での幸いに感謝

福島に帰ってきてお客様のところに集金に行くと、みなさんちゃんと代金を端数まできれいにそろえてくれていました。

私がノートにつけていた金額とピタッと合って、「なんていいお客様に恵まれたんだろう」と、改めて感謝の気持ちがこみ上げてきたのを覚えています。

営業所からも「うちでは堀野さんの売り上げを頼りにしているので、できる範囲でいいから仕事をして欲しい」と言われていたので、それを果たすことができたのもうれしいことでした。

自分の売り上げ目標も気がかりでしたが、営業所に迷惑をかけたくないという気持ちは強かったです。いつも出席していた営業所の会合には、さすがに出られないので、せめてもの気持ちで東京からお菓子を送りました。

※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。