決算報Photo:PIXTA

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は富士通、NTTデータグループなど「ITベンダー」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

ITベンダー主要4社で
唯一減収だったのは?

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のITベンダー業界4社。対象期間は2024年4~6月期の四半期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・富士通
 増収率:3.8%(当四半期の売上収益8300億円)
・NTTデータグループ(※)
 増収率:9.6%(当四半期の売上高1兆1121億円)
・野村総合研究所
 増収率:6.5%(当四半期の売上収益1881億円)
・NEC
 増収率:マイナス2.3%(当四半期の売上収益6903億円)

※旧NTTデータは23年7月1日付で「NTTデータグループ」に社名を変更し、持ち株会社制に移行した。

 ITベンダー4社では、富士通、NTTデータグループ、野村総合研究所の3社が前年同期比で増収、NECが減収となった。

 NECが減収となった背景には何があったのか。次ページでは、各社の増収率推移とともに詳しく見ていく。